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ある問答

 AがBに言った。
「気がつくと、私は四角い部屋の床に横たわっていました。部屋の中には何もなく、真っ白い天井と壁があるだけです。出口はなく壁には窓もありません。よくよく天井を見ると、次第に『死』という字が浮かび上がってくるのです。壁も床も同様で、私は『死』という字に囲まれて、辛うじて生きているという感じがしました。
 そのうちに『このままここから出られなくなったらどうしよう』という思いが高じてきて、息が苦しくなりました。動悸も激しくなりました。『ウワーッ』と叫んで助けを求めても、誰もいません。一瞬のうちに天井、四隅の壁が崩れてきて、私は圧死するのではないか、という恐怖にかられました。
 以上が、きのう見た夢の内容です。私は病んでいるのでしょうか?これからどうすればいいでしょうか?」  
 BがAに応えた。
「まず深呼吸をしてみてください。大きく息を吸って、それ以上に長く息を吐くのです。3回ほど繰り返してみましょう。今、あなたはスムーズに深呼吸ができましたね。だいじょうぶです。あなたは病んでいません。でも、『病んでいるかもしれない』という心配があるのですね。その心配はごもっともです。そして、大切なことです。生きていくためには、安心ばかりしてはいられません。『ほどほど』の心配がなければ、すぐに病気になってしまうか、大怪我を避けることはできないでしょう。ただ『過度』な心配は不要です。
 あなたの見た夢は、私たち『生きとし生けるもの』の実態を鮮やかに映し出しています。そうなんです。みんな、あなたと同じ状況にあるのです。みんな、必ず死ぬのです、でも、そのことに気づいている人は多くありません。あなたは、夢の中で、そのことに気づいたのです。夢の中の部屋には出口がありませんでした。壁には窓もありませんでした。しかし、現実は違います。あなたは、今こうして、私の所に来てくれました。そして、話をしてくれました。さらにまた、私の話を聞いているのです。だから、夢の世界とは違います。
夢は、夢に過ぎません。夢を現実と見誤ることで、『病』が生じます。それを防ぐためには、決して『一人きり』にならないでください。誰かと話をしてください。今日は、私に話をしてくれてありがとうございました。」
 Aとは「無意識」もしくは「自我」、Bとは「意識」もしくは「超自我」のことだが、Aを「患者(クライエント)」、Bを「臨床心理士(カウンセラー」などと《呼びまちがえる》場合もあるので、注意が必要である。(2018.8.26)




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2歳男児の《述懐》(つくり話)

 ほんとうのことをいうと、ボクは「うみ」よりも「やま」のほうが、すきなんだ。じいじは「うみへいこう」と、にいちゃんとボクをつれて「うみ」にむかった。でも、とちゅうで、ボクはどうしても「やま」にいきたくなって、じいじに「おうちかえる」といったんだ。でも、にいちゃんはうみへいきたいので、じいじはこまってしまった。ボクに「ひとりでかえるか?」とたずねたので、ボクは「ウン」とこたえた。「じゃあ、じいじがここでみているから、ひとりでかえりなさい。まいごにならないようにな・・・」。ボクはおうちのほうにむかってあるきだした。じいじたちは、じばらく、ボクの「うしろすがた」をみていたようだけど、しばらくいってふりかえると、もう、すがたはみえなかった。じいじとにいちゃんは「うみ」へいった。ボクは「やま」へいこう。「やま」はすずしい。いいにおいがする。せみもないている。ボクは、おうちにはかえらないで、どんどん「やま」をのぼっていった。(中断・空白)
 だれかが、ボクをさがしにきた。ボクのなまえをよんでいる。ボクは「おうちにかえる」といって、やまにいった。だから、ウソをついたことになる。おこられるかもしれない。ボクをさがしているのは、「おまわりさん」や「ショーボー」のひとたちだ。わるいことをすれば、つかまってろうやにいれられる。ウソをつくことは、わるいことだから、ボクをさがしているのだろう。みんながいなくなるまで、みつからないようにかくれていよう。(中断・空白) 
 かあちゃんのこえがきこえる。あいたいなあ。じいじもさがしにきた。おこられるかなあ。うそをついてごめんね、じいじ。 
(中断・空白)
 よるになり、あさがきて、またよるになり、またあさがきて、もういっかい、よるになった。おなかがすいたなあ。かわのみずをのむと、おなかがふくれるけど、なにかたべたい。ウソをついてわるかったな・・・。あやまろうかな。ボクは「かわ」の「いし」にこしかけて、もういっかい、あさがくるのをまった。(中断・空白)
 あさがきた。したのほうからこえがきこえる。こえがだんだんおおきくなった。はっきりとボクのなまえをよんだので、ボクも「ここにいるよ」と「こえ」をだした。すると、たちまち、はちまきをした「おじいさん」があらわれ、かおを「くしゃくしゃ」にして ボクをだきしめた。「よかった、よかった、よくがんばった」といい、あめだまをくれた。ボクはガリガリとかんでのみこんだ。おこられるとおもったけど、「おじいさん」はすこしもおこらなかった。タオルでボクをくるみ、しっかりとだきかかえ、かあちゃんのところへつれていってくれた。とちゅうで「おまわりさん」や「ショーボー」のひとたちもあらわれたけど、おこられなかった。
 おうちまでくると、かあちゃんがいた。じいじもいた。みんなないていた。ボクはウソをついて、わるいことをしたのに、みんな、ないている。どうして?
 ごめんなさい。もうウソはつかないよ。《おわり》
(2018.8.16)




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